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映画「トロイ」に関しての小話■恋愛の三大柱

先日テレビを見ていたら恋愛作品の三大柱なるものを上げていました。

タブーを超えた愛
一途な主人公
ラストの悲劇性

……だそうで。これは良い指標となりました。これをこの作品の二組のカップルに当てはめると

パリスのほうは最初から悲劇的恋愛です。
戦争を引き起こす程のタブーを超えた愛です。愛のために命を賭けようとするほど一途です。そしてあのオチの直前までは悲劇の匂いを感じます。……ここまでが典型的な恋愛映画の展開だけに、あのオチは衝撃ですけれど。

しかしアキレスの方はそうではありません。
ブリセイスが捕虜となった時点で、彼女の「トロイの王族」の身分は剥ぎ取られ、奴隷女と一介の戦士の恋はタブーな愛ではありません。そしてアキレスは特別彼女のために一途に何かをしない。彼はそんな人間では有りません(笑)し、兵士から救うことですら屈強な彼にとっては呼吸をするように簡単なこと。(あのシーン改めて観ると、「やめろ!」の一言も無くいきなり実力行使…。ギリシア兵も「一応味方だけどあいつ怒らせたら怖い…」と改めて実感したと思う。)

しかし「プリアモスの懇願」でブリセイスがトロイに帰ることにより状況は一変する。
敵国同士の恋愛=タブーを超えた愛となり、アキレスは人生を支えてきた「誇りを持って戦うこと」を捨て一途にブリセイスを救いに走る。……そしてラストは悲劇と言えます。

ですから、アキレスとブリセイスの恋愛は約二時間半を費やして「恋愛の理由」を述べラスト30分が「悲劇的な恋愛」なのですね。

 
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