ハルク(はるく)

キャッチコピー:
悲しみが怒りに変わる時 彼は巨大なモンスター「ハルク」になる!

ストーリー

強力なパワーを持つハルクは、人類の脅威なのか?だが、ハルクは人間――。そして、一人の女性だけが彼を信じた…。

レビュー

お薦め度:★★★☆
従来のアメコミ映画と思って観たので少々外したかな…。

■これから観る方ならアクションではなく「人間ドラマ」だと思って見ることをお勧めします。スクリーンで見たほうが迫力とは別の意味でよかった気がします。集中できないとこの手の作品は辛いです。「スパイダーマン」も大概人間ドラマ的には濃いと思ったのですが、「ハルク」はそれ以上。やりすぎです監督。

■マンガ的なカット割への意識
観ていて感じたのは「この監督、漫画を余り読みなれていない人だな」ということ。シーンへの移り変わりやカット構成が非常に漫画のコマ割を意識しています。エンディングもそうです。つまり、漫画のコマ割を非常に斬新だと感じていると言うことが分かるのです。例えば「スパイダーマン」でこのような手法は取っていません。サム・ライミ監督は原作の熱狂的なファンだそうで、漫画を読み慣れているのですね。だから漫画的な手法を斬新とは思わないので表現として利用しません。
  この手法が是か非か…私はどちらかと言えば多用するのは否です。漫画は1カットが静止だから、大きく取ったり横長にしたりして動きやカメラワークを表現します。しかし映画は俳優もカメラも動的に表現が出来る。決まった大きさ(スクリーンサイズ)を小さくカットして動きを表現するのはナンセンスだと感じるのです。

■構成・演技
全体的に俳優陣の演技のテンションが抑え目なので、主人公のブルースが平素どのくらい感情を抑えているかが序盤の時点では一寸わかり難かったです。映画的描写がやや誇張気味の「普通」ではなくて、本当に実生活的な「普通」なのでそのせいなのかもしれません。中盤で「怒り」を開放するあたりがすごいので納得がいきましたが。
  この作品、何を期待したかというと俳優のエリック・バナなのですが、こんな演技も出来る人なのね、と感心しました。一番気に入ったのは、終盤で父親と語るシーン。失望から怒りへ変わる表情がとても良いです。

■いまいちだった理由
私の好きな人間ドラマというか、父子もの(このジャンルには滅法弱いので…)的には良く描けているのですが…何故乗れなかったのかと考えてみました。父子の関係がメインの割りに、ブルースが物心が付く前に生き別れていて彼が余り父親への執着が無いところ、父親の彼への執着も最初から【彼個人ではなく彼の保有している能力】だと最初から感じ、そしてまさしくその通りなのがトホホだからでしょうか。その為、ブルースの怒りも彼自身を否定された怒りではなく、単純にマッド・サイエンティストへの怒りだと感じるからかもしれません。
  アメコミ映画としてテンションが低いも…勿論監督もその意図で描いているし、具体的に敵がいるという話ではない、内面の葛藤だというのもわかるのだけど結局期待したところがそうじゃなかった、というのがややイマイチな点かもしれません。もう一度人間ドラマのつもりで観たら堪能できそう。

■DVD特典映像
何が一番驚愕したかというと…【ハルク=ブルース・バナー=エリック・バナだと思っていたら、ブルース・バナー=エリック・バナ、ハルク=アン・リー監督】だったこと。なんじゃそりゃ!?みたいな。確かにおかしくは無いけれど…びっくりしましたよ。【監督がモーション・キャプチャースーツを着て演技するなんて。確かに俳優に演技指導する】よりは合理的だわねえ…。

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