シザーハンズ(しざーはんず)

キャッチコピー:
抱きしめたいのに抱きしめられない…

ストーリー

昔、日々山の頂上に大きな屋敷がありそこで孤独に研究を続ける博士がいた。ある時博士は急逝しその広大な屋敷には彼の創造した一人の人造人間だけが残った。彼の名前はエドワード。両手が鋏の彼は創造主の博士が死んだ後も人と交わることなく、ひっそりと一人暮らしていたがあるきっかけで街で生活を送るようになる。両手がハサミの人造人間が街で巻き起こす騒動と、彼と少女との恋を描くsfフアンタジー。

レビュー

お薦め度:★★★★★
きっと「泣いた赤鬼」という絵本を読んで泣く人は泣きます。外見が奇異なばかり純真な青年が皆からさげすまれ誤解を受けるティム・バートンらしいファンタジー・人間ドラマです。

両手が鋏という発想がすごい。一体どうすればそんな発想が思いつくんでしょう。

■ジョニー・デップ演じる人造人間エドワード
ジョニー・デップを知らない人でも「シザーハンズの人」というとわかる人が結構います。一寸前まではこの作品が彼の代表作でしたがこれが実に演技が良いです。外見は怖いのですが、本当に純真な心を持っているという雰囲気が良く出てます。
物音に吃驚しておどおどする表情とか、人の後ろをとことこ(ここ強調)付いていく歩き方が、なんだか仔犬…捨てられた犬みたいな感じ。寒空の下で捨てられていた仔犬が、急に暖かい処に連れて来られて「僕はここにいていいの?」って言ってるあの目です。(犬好きはこれに弱い)

これを観た後書店で「バートン オン バートン―映画作家が自身を語る」という本を立ち読みしました。序文がジョニーさんで、この役を貰うまでに自分がどんなに腐れていたか、どれだけこの台本に衝撃を受けたか、どんなに熱心にこの役をやりたいと監督に訴えたかということを切々と書いています。
当時まだまだ「顔だけ役者」扱いだった彼ををこの役に起用した監督って本当に先見の明がありますね。この後、ジョニーは目出度くバートン役者の代表となる訳ですが、いいコンビです、まったく。

■ストーリー
前半は、街の人々とエドワードが仲良くなるエピソードでコミカルで笑えるシーンが多いです。特にエドとヒロインの初顔合わせのシーンは結構笑えました。そもそもお母さんもいくら林間学校に行ってるからって年頃の娘のベットに人造人間寝かすなよ…。

後半は【純真な余りに悪意を持った人に利用され、今まで擦り寄ってきた人々が手のひらを返したように冷たくなる】エピソードです。
この手のお話には必ず現れる、【正義を振りかざした利己主義的な人間ですが、これがまあ予想通りに嫌なやつで…。最初は狂信的な主婦がエドワードを攻める急先鋒かと思いきやヒロインの彼氏でした。急につれなくなったヒロインに向かって「お前の言うことが理解できないよ」とか言いますが】、理解できんのはおまえのほうじゃーーーー!!(怒)などと怒りに駆られました。

中途に入るエドワードと博士の生活?の回想シーンは切ない気持ちになりました。

それまで無味乾燥なロボット(これもまたバートン臭い可愛い機械なんだけど)ばかりを作っていたのに、人間により近いエドを造ったのは、博士も孤独に研究を続けることが嫌になったからかもしれません。最初は工業用ロボットの延長上(=手が鋏)として作ったはずのエドに「少し早いクリスマスプレゼント」と称して人間の手を見せるシーンは、エドは本当に博士に愛されていたんだなと感じました。大体名前を貰っていたんだもんね。

博士が目の前で死んだ時、エドは何を思ったのでしょう?自分と博士(人間)は根本的に何かが違うと悟ったみたいでした。回想シーンがそこで終了すると言うことは、やっぱり自分は他の人間と普通に交わることが出来無い存在と言うことをはっきりと自覚したと言うことなのかしら。切ないよう…。

ラストは【最悪最低のことにならなかった】という意味でのハッピーエンドです。

大勢の人気者になれなくてもたった一人の理解者がいてくれるなら、それさえ心の中にあれば生きていける。そういうことなのかもしれません。 そして彼女の為にクリスマスには雪を降らせる】。ロマンチックでは有りますけど…。

この話の流れだとどうもエドワードは年を取らない感じなんですよね。
彼はこの先未来永劫あのお城で一人孤独に生きていくのかしら?ヒロインが老いて死んでしまった後も、もうこの世にいない彼女を想いながら雪を降らせるのかしら?そう思うとたまりませんです。

それにしても…ティムバートン、クリスマス好きなんですね。

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