パッション(ぱっしょん)

キャッチコピー:
誰も描けなかった、真実ゆえの衝撃。

ストーリー

キリストが磔の刑に処されるまでの12時間を描いた作品。

コメント(予告編)

歴史との忠実さはローマ法王のお墨付きらしいです。なんでも余りの凄惨さに心臓発作を起こして亡くなった方もいるとか…
ユダはどのように描かれているのかしら?
たまたま知った作品ですがこれは興味ありますね。

レビュー

お薦め度:★★☆
「ごめんなさい…もういいです…」もう表現が痛いったら痛ったら…。これじゃあショック死する人も出るでしょうよ。これで12r(12歳未満でも保護者同伴なら鑑賞ok)というのは…。残虐シーンになったら保護者は速やかに子供の目をふさげって事でしょうか?

キリスト教徒以外の方にはまったくお勧めできない作品です。
エンターテイメントとして作られているわけではなく、根本的に宗教映画として作られているから当然ですが。アメリカの九割はキリスト教徒ですからこれでもいいのでしょう。

キリストが最後の晩餐を終えて祈りを捧げている時からゴルゴダの丘で息絶えるまでを克明に描いています。(聖書をまとめたサイトは〔こちら〕)
途中にそれまでのキリストの生涯のエピソードが回想シーンとして挿入されていますが「分かっていることが前提」として描かれるイメージシーンでしかありません。ですから何故キリストがここまで疎まれることになったのか、何故反論をすることもなく磔の刑に処せられたのかその理由も描かれていません。

友人と一緒に行きましたが二人とも前半の鞭打ちのシーンで既にへこたれ、そして意識的にこの映画に集中しないように努めました。
『この血痕は血糊だし、この傷跡はcgに違いない。ああ最近の技術は進化したなあ…』
後はもう勘弁してくださいの連続です。十字架を担いで歩き始めた頃には「キリスト早く死んでくれ。もう苦しまなくても良いから…」と祈り始める程です。
「ドッグ・ヴィル」では撮影現場に懺悔室が作られたと聞きましたがきっとこの映画でも作られたに違いありません。

時々作品として共感できる事と言えば聖母マリアとマグダラのマリアの流す涙位。母親って辛いよね…息子が神の代行者などという役割を担わなければ、息子が死に向かうまでも現場を見なくても済んだのにね。

あと一寸うるっと来たのは一緒に磔にされた罪人の「私は罪を犯したから貼り付けにされるのは当然だ。だがこの人は何も悪いことをしなかった」「聞け!この方はお前たちの罪のために祈っておられる」というようなセリフ。
この罪人一人の為であってもキリストの苦行は役に立ったと言えるかもしれません。

今までキリストの受難といえば、最後の晩餐の後にユダの企てで捕らえられ、ゴルゴダの丘で処刑されました。という位の知識しかなかったので、人々の釈放への努力や人間模様があった事を知ったのは利益といえますかしら…。

周囲の人間の外見的な描写は細かく、それはもう見事なまでの再現ドキュメンタリーです。教徒ならばきっとより敬虔な気持ちになるのかもしれませんが、少なくとも私はこれで「キリスト教の教えって何て素晴しいのだ」とは思えませんでした。このようなものを見れば見るほどに、宗教の意味を疑いたくなるのは私が所詮キリスト教を飽くまでお話としてしか認識していないからでしょうか。

ですから、キリストがされた言動に対して宗教として話を言及するのは控えます…。
「ビッグ・フィッシュ」でもこういっていますから…
『コンゴに住むオウムは話題が豊富だ。ファッション・映画・政治…しかし宗教の話は避ける。何故だか分かるかね?宗教の話は自分が意識しないうちに他人を傷つける恐れがあるからだ。』

別に、画像が汚いとか演技が下手とか脚本がしょぼいとか…その手のマイナスポイントはありません。でもこの映画はもう良いです。一回で十分。

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