この作品本当にキャラクターが立っています。
特にジョニー・デップ演じるジャック・スパロウは初登場シーンからしてイカレオーラ満載であっけに取られました。その後は、一挙手一頭足がイカレで…やられます(苦笑)。
この演技、ジョニーの「海賊は当時のロック歌手のようなものだ」というイメージからキース・リチャードをイメージしてキャラ作りされたと言う話は有名。
ジェフリー・ラッシュの敵役バルボッサも、この人でなければきっと印象がまったく違ったのではないかと思うほど、好演技です。海賊だからといって乱暴者一辺倒ではなく、さり気無く知的なところ・紳士的なところを匂わせているのが本当に素敵です。だからこそ、冷酷な処が強調されて見えますもの。
ジャックが「いい加減・行き当たりばったり」で行動している印象なのに対して、バルボッサは「計算高く・先を読んで行動する」という感じです。
…やっぱりディ○ニーの敵らしくちょっと詰めが甘いんですけどね。(そうでなければストーリーが展開しない)
オーランド・ブルームの役ウィル・ターナーは、当初日本での振れ込みでこの映画の主人公ということになっていて色々な企画が立っていましたが…主人公かなあ…?どう観てもメインはジョニーにしか思えない。
と思ったら、本場ではそれ程強調されていなかったみたいです。ブエナビスタさん戦略間違っていません?広告でもオーランドが主役のラブロマンスを強調してたし、コピーからして「あなたの為に私は戦う」ですしね。
そういえば、某劇場で二本立てで観たときに丁度私の後ろにいたご婦人方が
「次の映画って何?」
「パイレーツオブカリビアンだって」
「ああ、ラブロマンスみたいなヤツでしょ?面白くなさそうだから行こ行こ」
といって席を立ったときは、
「そういう人ほど観て下さい!そりゃもううっかり面白いですから!」と引き止めたい気持ちで一杯でした。
あえてギャップを狙った戦略?だとしたら私はまんまとはまりました。で、話は戻してウィルですが若さゆえ(愛は盲目?)に暴走して、筋書きを一転二転させる点はストーリーテラー。
指輪物語でレゴラスを演じて人気度アップした彼ですが、より彼の素を生かしているという点では、こちらの作品は一歩出てますね。(まあむこうはエルフでこっちは人間ですし)
この作品で認知度が一気に上がったキーラ・ナイトレイの演じる令嬢エリザベス・スワン。今までのさらわれるお姫様の常識を覆す、男前キャラです。当初はたださらわれるだけのキャラだったのがいつの間にかアクションが増えてしまったとか。
【さらわれた海賊に食って掛かる、武器を持って暴れまわる、ジャックを酔い潰す】。そりゃもうやりたい放題。…あれ、これって最初は彼女を救う話のはずなのに何時の間に?
とにかくメインキャラクターが全て立っていて、本当に面白いです。どの役者さんも楽しそうに演じていて、きっと和気藹々とした現場だったのだろうなと思います。
…何かキャラのことしか書いてないし。
ストーリー自体は割と単純明快ですが、海賊の目的が【新たな力を得るところではなく呪いを解く事、実はさらわれたエリザベスの血では呪いが解けないところ】とかはちょっとひねりがあるなと思います。
惜しいなと思う点は、bgmのバリエーションが少ないこと。
一曲一曲は大変すばらしいのですが、メインの旋律があってそれを編曲しているものが多く、私には物足りないです。折角ハンス・ジマーを使ってるのにー。
(蛇足ながら、03年末にフィギュアスケート男子シングルのヤグディンが引退した時は大変しょげました。彼は映画のbgmを使用してとても重厚感のある演技をする選手で今までの傾向からいって絶対次はこの映画のbgmを使ってくれると勝手に信じて疑わなかったものですから…。)
それから、呪いのうち不死について、ただ「死なない」というだけの点。
できれば、人の寿命を超えて何百年も生き永らえる、その苦悩とかも描いて欲しかったのですが、これは不死ではないジャックが海賊達を追うという展開上仕方が無いのかもしれません。
これについては、余りに語ることが多く、何処から手をつけていいのか分からないほどです。本当に好きで好きで好きでたまりません。この映画の〔別室〕作りました。内容は己のアホぶりを露呈する内容ばかりですが…。